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分掌変更に際して支給される「退職給与」の損金算入に関する一考察(上)

森本, 里奈, Issued : 2019.09.30, 青山ビジネスロー・レビュー <TF01308663>
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書誌詳細

コレクションコード 紀要論文
コレクションコード 青山ビジネスロー・レビュー
コレクションコード 9
ソースレコードID AA12658044
タイトル 分掌変更に際して支給される「退職給与」の損金算入に関する一考察(上)
ブンショウ ヘンコウ ニ サイシテ シキュウ サレル「タイショク キュウヨ」ノ ソンキン サンニュウ ニカンスル イチコウサツ(ジョウ)
タイトル(その他) An Analysis of the Relationships between Inclusion in Deductible Expenses and `Retirement Salary' Paid at the Time of Duties' Change under Corporation Tax Act (1)
作成者 森本, 里奈
モリモト, リナ
Morimoto, Rina
出版者 青山学院大学大学院法学研究科ビジネスロー・センター
出版者 アオヤマ ガクイン ダイガク ダイガクイン ホウガク ケンキュウカ ビジネス ロー センター
NCID AA12658044
ISSN(プリント) 21878668
DOI URL https://doi.org/10.34321/21099
収録物名 青山ビジネスロー・レビュー
収録物名 アオヤマ ビジネス ロー レビュー
収録物名 Aoyama business law review
巻次等 9
1
開始ページ 63
終了ページ 94
日付 Issued : 2019.09.30
内容記述 法人税法上、役員給与については「別段の定め」が設けられており、「退職給与」に該当すれば、法人税法上の役員給与の範囲から除かれ(法人税法34条1項)、不相当に高額な部分を除き(同条2項)、損金の額に算入されることとされている(同法22条3項2号)。法人税法は、2条に定義規定を設けている。しかし、「退職給与」については明確な定義規定がない。そのため、「退職給与」に当たるか否かについての争いはあとを絶たない。「退職給与」に当たるか否かについて、特に問題となるのが、分掌変更に際して支給される「退職給与」(以下、「分掌変更退職給与」という。)である。実務上、常勤役員が非常勤役員になるなど、その地位が大きく変動する際に、完全にリタイアする前に退職給与を支給するということが多く見受けられる。会社としては、当該役員が実質的に退職したものと考えて退職給与を支給しており、会計上は費用として取り扱われる。会計上の費用にあたれば、別段の定めがなければ税務上も損金の額に算入されるため、支給した会社は損金算入されるものと考えるだろう。一方、課税実務においては、法人税法基本通達9-2-32を適用し、退職給与支給後も「実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる」場合には、退職給与に当たらないとして損金算入がを認められないこととなっている。このように、通達の文言をもって課税関係を判断することは、法的安定性が損なわれ問題であると考える。そこで、本論文では、分掌変更退職給与が法人税の課税所得の計算上どのように扱われるべきかについて明らかにする。まず、「退職給与」の損金算入の可否がどのように決定されるのかを、現行法および沿革を概観することで検証した。次に、「退職給与」の意義について、税法の趣旨を離れた観点から検証した。さらに、法人税法上の「退職給与」と所得税法上の「退職所得」の違いについて検証した。現在の通説では、通達上の「実質的に退職と同様の事情」という文言の趣旨を、所得税法上の「退職所得」の要件と同義と捉えて判断している。しかし、法人税法と所得税法ではその条文趣旨が異なるため、「退職給与」に該当するか否かの要件は、あくまで法人税法上の要請に基づいて検討する必要がある点を指摘した。その上で、分掌変更退職給与は、原則として「退職給与」 に該当し、損金算入が認められるべきである旨を論じた。最後に、分掌変更退職給与を原則損金算入可能とした場合に想定される課税上の弊害を検討し、対策として同法132条の適用を提言した。
資源タイプ departmental bulletin paper
資料種別(NIIタイプ) 紀要論文
物理的形態 PDFファイル
アクセス権 open access